【連載:役員報酬は「少ないほど得」は本当か?】第1編 法人に残した資金、本当に「自分のもの」ですか?
改めて「法人に資金を残している=自分の資産が増えている?」
この感覚は多くの経営者にとって自然なものです。
実際、法人の口座残高が増えれば安心感があり、資金繰りの余裕や経営の安定にもつながります。金融機関からの評価という意味でも、内部留保が厚いことは一定のプラス要素になりますし、「とりあえず法人に残しておく」という判断は決して間違いではありません。
しかし、ここで一度冷静に考えたいのが、その資金の「所有の実態」です。
法人にある資金は法人のものであり、経営者個人の資産とは明確に分離しています。たとえ100%株主であっても、法的には別人格です。そのため、個人として自由に使うには役員報酬や配当といった手続きを経る必要があります。
さらに、その過程で所得税や住民税が発生します。つまり、法人で一度課税され、個人で受け取る段階でも、さらに課税されるという構造です。
この視点で見ると、「残っている=自由に使える」というわけではないことが見えてきます。
まずは、「法人の資金」と「自分の自由なお金」は別物であるという前提に気づくこと。
それが資金戦略を見直す第一歩になります。



